今回は、助成金の中から「業務改善助成金」を取り上げます。
今や避けて通れない経営課題である「賃上げ」。これに伴うコスト増を支援するのが、厚生労働省の『業務改善助成金』です。
この助成金は、「事業場内で最も低い賃金を引き上げる」とともに、「生産性向上のための設備投資(機械導入やシステム入れ替えなど)」を行った場合に、その費用の一部を国が助成する制度です。
単なるコスト増を、国の支援を活用した「攻めの投資」に変えられるかどうかは、今後のキャッシュフローを左右します。
【令和8年度の主な変更点】
最新の『令和8年度 厚生労働省予算案』では、より高い賃上げを後押しする内容へアップデートされています。
変更点①:引上げ額区分の「再編」
- 昨年まで:30円、45円、60円、90円の4区分
- 令和8年度:50円、70円、90円の3区分に集約 最低賃金の大幅な上昇傾向を反映しています。
変更点②:対象事業場の「条件緩和」
- 昨年まで:地域別最低賃金との差額が『50円以内』の事業場が対象
- 令和8年度:事業場内最低賃金が地域別最低賃金『未満』であれば対象 「うちは対象外」と諦めていた事業場も、助成金の対象になる可能性が広がりました。
変更点③:募集時期の「重点化」
- 募集期間:令和8年9月1日 〜 地域別最低賃金の発効日前日(または11月末日) 国としては「改定のタイミングで速やかに、かつ年内に賃上げを実行してほしい」という強いメッセージを出しています。
【申請前に必ず知っておくべき2つのポイント】
- 対象は「すべての労働者」 雇用保険の加入有無を問いません。パート・アルバイトはもちろん、外国人労働者も対象に含まれます。
- 「フライング発注」は厳禁! 「交付決定」が届く前に機械やシステムを契約・購入してしまうと、1円も支給されません。必ず「申請 → 決定 → 発注」の順序を守る必要があります。
- 設備投資の見積は、最低2社から取得する
- 他の助成金との重複に注意 例えば「キャリアアップ助成金」で同じ人の賃上げを申請している場合、「同一の賃上げ」に対して二重に助成金をもらうことはできません
「9月になってから」では、もう遅い
業務改善助成金は、設備投資と賃上げをセットで計画する必要があります。
- どの設備で、どれくらい生産性が上がるか?
- 外国人雇用を含めた組織全体の賃金規定はどうあるべきか?
なお、外国人労働者を対象にする場合、賃上げを行う際、在留資格申請時に提出した雇用条件書の内容と齟齬が出ないよう、整合性に注意してください。
助成金や補助金は申請すれば100%助成されるものはありません。補助や助成金がなくても必要な設備か、必要な投資か、得られる効果(生産性向上など)を必ず検討してください。上記の情報は、2026/2/末時点の情報です。今後、公募要領がオープンになりますので、確認してください。
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